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ChimeraScan取扱説明書 ​

elemc 2026年03月26日 改訂(Ver0.15)

1 概要 ​

ChimeraScan(キメラ・スキャン) は、自動車組立工場向けのワイヤーハーネス接続音検知システムです。

作業員がハーネスのコネクタを接続した際に発生する「カチッ」という嵌合音(かんごうおん)をマイクで集音し、正しく勘合されたタイミングを自動的に識別・判定、および記録を行います。

Ver0.15 の新機能

  • リングバッファ時間の任意設定: 従来の固定2分から、1~20分の間で設定可能になりました。
  • リングバッファ(セグメント収録)方式: 設定した時間に達しても計測は停止(タイムアウト)せず、自動的にファイルを分割して計測を継続します。
  • 自動リセット機能: セグメント(設定時間)の切り替わり時に、リアルタイム波形表示および検出情報(履歴)を自動的にリセットします。

2 構成ファイル ​

本システムは以下のファイル・フォルダ構成で動作します。

py
ChimeraScan
├─ Bin                      # 実行ファイル格納フォルダ
│  ├─ ChimeraScan.exe       # アプリケーション本体
│  ├─ ChimeraScan.ini       # 初期設定ファイル
│  ├─ pass.wav              # 嵌合音検出の通知音
│  └─ libfftw3-3.dll        # fftwライブラリ
├─ Para                     # 設定パラメータ保存フォルダ
│  ├─ Env.mst               # 環境設定ファイル
│  └─ TestXX.pat            # パターン設定ファイル(XX: パターン番号)
├─ Csv                      # 解析結果データ(CSV)保存先
│  └─ YYYY-MM-DD            # 一日1個フォルダー新規   
│     └─ TPXX-XXXXXX.csv
├─ Raw                      # 一括生データ保存場所
│  └─ YYYY-MM-DD            # 一日1個フォルダー新規
│     └─ TPXX-XXXXXX.imd
├─ RawSplit                 # 分割生データ保存場所(OK/NG判定ごと)
│  └─ YYYY-MM-DD            # 一日1個フォルダー新規
│     ├─ NG-TPXX-XXXXXX.imd # 異常音の生データ
│     └─ OK-TPXX-XXXXXX.imd # 嵌合音の生データ
└─ Log             
   └─userlog.txt            # ログファイル

3 Register ​

本ソフトウェアを使用するには、PCごとのライセンス登録が必要です。
未登録の場合、ウィンドウタイトルに [Unregistered] と表示されます。以下の手順で登録を行ってください。

  1. シリアルナンバー(SN)の確認
  • ChimeraScan.exe を一度実行し、その後終了させます。
  • Bin フォルダ内に自動生成された ChimeraScan.ini ファイルをメモ帳などで開きます。
  • [Register] セクションにある SN (シリアルナンバー)を確認し、コピーします。
    ini
    [Register]
    SN=1KdC-qXSG-cB5Y-dGtN
  1. ライセンスキー(Key)の取得
  • 確認したSN番号をELMEC社に送信してください。
  • ELMEC社より、対応するKeyが発行されます。
  1. ライセンスキーの登録
  • 再度 Bin\ChimeraScan.ini ファイルを開きます。
  • [Register] セクションの SN の下の行に、Key=(コピーしたキー) を追記して保存します。
    記述例:
    ini
    [Register]
    SN=1KdC-qXSG-cB5Y-dGtN
    Key=hLqFrDlOkHwT
  1. 確認
  • ChimeraScan.exe を起動し、タイトルバーから [Unregistered] の表記が消えていることを確認してください。※今回(2025/12/19)に納品するPCには既にライセンス登録がされています。

4 メイン画面 ​

アプリケーション(ChimeraScan.exe)を起動するとメイン画面が表示されます。

4.1 画面構成 ​

  1. パターン番号選択(最上部)
  • 測定する車種や工程のパターン(例: 01 YARISU)をドロップダウンから選択します。
  • [設定]ボタン: 環境設定およびパターン設定画面を開きます。
  • [タグ名]編集: 生データ保存時のファイル名の一部となる文字列を指定します。(例:198-Y)
  1. 波形表示エリア(中央)
  • マイクから集音された波形をリアルタイムに表示します。
  • 勘合OKと判定された波形は数値(タイムスタンプ順)と共に表記されます。
  • 縦軸は電圧(V)、横軸は時間(秒)です。
  1. ステータス・履歴表示(右側)
  • 計測待ち / 計測中: 現在のステータスを表示します。
  • 計測開始時刻: 計測を開始した時刻。
  • 計測経過時間: 開始からの経過時間。
  • 嵌合検出履歴: 検知した勘合音のタイムスタンプ(秒)がリスト表示されます(例: 01: 034.292)。
  1. 操作ボタン(右下)
  • [Start] / [Stop]: 計測の開始および停止を行います。
  1. ステータスバー(最下部)
  • 入力モード、保存状態、ディスク空き容量、現在時刻などが表示されます。

Ver0.15 変更点
設定されたリングバッファ時間に達すると、表示されている波形および画面上の検出情報(履歴リスト)が自動的にリセット(クリア)され、新しいセグメントとして計測・表示を再開します。

4.2 基本的な使い方 ​

  1. 画面左上のリストから、該当するパターン番号を選択します。

  2. 右下の [Start] ボタンを押します(ステータスが「計測中」になります)

  3. コネクタ接続作業を行います。

  • 嵌合音を検知すると、画面上に波形が表示され、履歴リストに追加されます。
  • 設定に基づき、嵌合音検出時には pass.wav が再生される場合があります。
  1. 作業終了後、[Stop] ボタンを押して計測を終了します。

4.3 計測モード ​

本ソフトウェアは3種類の計測モードを備えています。環境設定の「生データ入力モード」を変更することで切り替えが可能です。

入力モード計測モード説明
MicModeOnline計測(通常使用) マイクからリアルタイムに音を取得して計測します。波形や時刻はリアルタイムに表示されます。
ImdModeOffline計測
(シミュレーション)
過去に保存された生データファイル(.imd)を使用します。
[Start]ボタン押下後にファイル選択画面が表示されます。
計測時の状態を再現するため、波形描画と計測時間はOnline計測モードと同じ速度で進行します。
ファイルを選択しなかった場合、またはデータの読み込みが完了した時点で、計測は自動的に停止します。
ImdHiModeOffline計測
(高速解析)
ImdModeと同様に生データファイル(.imd)を使用します。
波形描画と計測時間のリアルタイム表示を省略し、短時間で解析結果を出力します。
ImdMode同様、元データがない場合や解析完了後に計測は自動停止します。

5 設定画面 ​

メイン画面の [設定] ボタンをクリックすると、詳細設定ウィンドウが開きます。

5.1 環境設定 ​


データの保存先やハードウェア設定を行います。

保存場所設定

Item説明
検出データ保存場所CSVファイルの保存先フォルダを指定します
生データ保存場所全体の波形データ(.imd)の保存先を指定します
生データ分割保存場所検出ごとに切り出された波形データ(OK/NG)の保存先を指定します
ドライブ空き領域警報サイズ(GB)ディスク容量不足を警告する閾値を設定します

入力・保存設定

Item説明
生データ入力モード計測モードを選択します。通常は MicModeを使用します。テストや解析を行う場合は ImdMode または ImdHiMode を選択してください(詳細は4.3項参照)。
生データ保存モード保存するかどうかを選択します
生データ分割保存モード保存するかどうかを選択します
マイク入力チャンネル使用するマイクチャンネル(Left/Right)を選択します
マイク音量(0-100)入力ゲインを調整します
リングバッファ時間(分)(Ver0.15 新設) 1つのデータファイルとして保存する最大時間を設定します。設定範囲は 1 ~ 20分 です。この時間に達すると、データが保存され、自動的に次のセグメントへ移行します。

チャート設定
メイン画面のグラフの表示範囲(X軸時間、Y軸電圧)や配色(背景色、波形色など)をカスタマイズできます。

5.2 パターン設定 ​


勘合音の検出条件(何をもって「勘合」とみなすか)を定義します。

計測条件
トリガー設定など、嵌合音検出用の演算条件を設定します。

Item説明
トリガ電圧(V)トリガ検知の閾値(しきいち)
トリガ前時間(ms)トリガ検知より前の保持時間
トリガ後時間(ms)トリガ検知より後の保持時間
検出OKマスク時間(ms)嵌合音検出後、次のトリガ検知を無効にする時間
検出NGマスク時間(ms)異常音検出後、次のトリガ検知を無効にする時間
保持時間電圧(V)保持時間演算用の閾値電圧

嵌合音検出条件
記録された波形が「正しい嵌合音」であるかを判定するパラメータです。
トリガ毎で嵌合音検出を行う、すべて項目の演算区間は設定されたトリガ前時間 + トリガ後時間です。
各項目に対し、判定を行うかどうかのチェックと、下限・上限値を設定します。

Item説明
二乗平均平方根(rms)音の強さ平均値。波形全体としてどれくらいエネルギーがあるかの目安
最大値(V)波形の中で一番大きな電圧。音の瞬間的な最大の強さ
ピーク密度(%)3倍RMS超過率を計算することで、全体の音量は小さくても、パチッという突発的な異音を逃さず捉えるための指標です
尖度(Kurtosis)波形中の突出したピークの尖り具合を示す指標。
波形係数波形全体の形状を平均的に評価し、全体としての尖り具合を示す指標。
面積正規化(V)最大電圧に対して、ピーク以外の電圧成分がどれだけ存在しているかを示す指標
ゼロ交差率(%)波形が0Vを横切る頻度。値が大きいほど高い周波数成分を含む傾向がある
保持時間(ms)設定したトリガ電圧以上の状態から、再び下回るまでの時間
最大周波数(Hz)スペクトル中で最も成分が強い周波数(ピーク周波数)
スペクトル重心(Hz)周波数成分の平均的な位置。音の高さや周波数分布の特徴を示す
スペクトル帯域幅(Hz)音に含まれる周波数成分の広がりや大きさを示す
ロールオフ周波数(Hz)累積エネルギーが85%に到達する周波数値
低周波数成分比率(%)0Hzから2kHzまでの成分が全体に占める比率
中周波数成分比率(%)2kHzから8kHzまでの成分が全体に占める比率
高周波数成分比率(%)8kHzから24kHzまでの成分が全体に占める比率

設定手順

  1. リスト内の項目(RMSや最大周波数など)について、判定に使用するものに「●」をつけます。
  2. 正常な接続音のデータに基づき、下限と上限を入力します。この範囲内に収まった場合のみ「OK(嵌合音)」と判定されます。
  3. 設定完了後、[OK] ボタンで保存します。

6 出力データ ​

CSVデータ
CSVフォルダ内に保存されます。日時、判定結果、各パラメータの数値が記録され、解析やトレーサビリティ管理に使用できます。

各列を説明

Col説明
Timeトリガ時刻
Res嵌合音検出結果(0=OK[嵌合音]、1以後=NG[異常音])、例:
Res=1、T-RmsでNG検出
Res=7、T-ZCRでNG検出
3列目後各判定項目の演算データ

波形データ (Raw/RawSplit)

  1. Raw: 計測期間全体の波形データです。後から再生・解析が可能です。
  2. RawSplit:
  • OK-xxx.imd: 正常に接続と判定された瞬間の波形。
  • NG-xxx.imd: トリガは検知したが、条件(パターン設定)を満たさなかった波形(ノイズや不完全な接続など)

7 計測実施 ​

7.1 計測開始と停止 ​

  1. 計測開始: メイン画面の「START」ボタンをクリックすると計測を開始します。
  2. 経過の確認: 計測中、画面下部のプログレスバーには現在のセグメント(リングバッファ時間)の経過時間が表示されます。
  3. 継続計測 (Ver0.15): 設定されたリングバッファ時間に達しても、計測が自動停止(タイムアウト)することはありません。「STOP」ボタンをクリックするまで、ファイルを分割しながら無制限に計測を継続します。
  4. 計測停止: 「STOP」ボタンをクリックすると、その時点までのデータを保存して計測を終了します。

7.2 リングバッファ(連続計測・セグメントループ)仕様 ​

Ver0.15では、長時間の安定稼働を実現するため、設定した「リングバッファ時間」に基づき以下のサイクルで動作します。

  1. 自動ファイル分割: 設定時間(例:10分)が経過するごとに、その期間の生データ(.imd)および解析結果(.csv)を独立したファイルとして自動保存します。
  2. リアルタイム表示のリセット: ファイル保存のタイミングで、メイン画面の「リアルタイム波形表示」および「検出履歴リスト」がリセット(クリア)されます。これはPCのメモリ負荷を軽減し、描画の遅延を防ぐための仕様です。
  3. シームレスな自動更新: リセット直後、システムは即座に次のセグメントの収録を開始します。作業員による再操作は不要です。

8 修正履歴 ​

VersionDateComment
0.012025/10/10新規作成
0.022025/10/24嵌合音検出後音再生機能を追加
0.032025/10/29保存データファイルにタグ名を追加
0.042025/10/31保持時間演算ロジックを変更
0.052025/11/04保持時間演算ロジック再改正(2個嵌合音時一番目嵌合音の保持時間を演算する)
0.062025/11/04保持時間演算ロジック再改正(2個嵌合音時一番目嵌合音の保持時間を演算する)
0.072025/11/04Imdから高速収集モードを追加
0.082025/11/05平均値からrms値に変更
0.092025/11/11環境画面不具合を修正 データ保存時フォルダー存在かどうか検査する
0.102025/11/11マイク入力チャンネル選択機能を追加 マイク音量設定機能を追加
0.112025/11/15マイク入力Bufferを追加する マイク検査機能を変更
0.122025/12/12Add Register
0.132025/12/15入力モードの文字列を修正、SoundCardModeからMicModeに変更
0.142025/12/16判定項目stdからPeakDensityに変更
0.152026/03/20リングバッファ時間設定機能を追加、計測無制限に変更

本書の内容はソフトウェアバージョン Ver0.15 に基づいています。仕様は予告なく変更される場合があります。

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